弥生時代のはじまり
弥生時代のはじまりが500年遡った
弥生時代のはじまりは、50年前までは紀元前5世紀頃とされていました。
それが500年遡り、紀元前10世紀だったと国立歴史民俗博物館が発表しました。
500年遡りの根拠になったのは炭素14年代測定法です。
といっても50年前に炭素14年代測定法で紀元前5世紀と測定されているのでなぜ同じ手法で遡ったの?という疑問があります。
その理由は、炭素14年代測定法およびその周辺技術の進歩によるからです。
AMS法(加速器質量分析法)により少量の試料で短時間に高精度で測定できるようになりました。
今まで少量だったので測定できなかった試料も対象となったため検証が進んだようです。
弥生時代の研究はアップデートが必要
「紀元前10世紀始まり」にはいろいろな反対意見が出たようです。
使った試料に問題ありとか、他国の考古学での事例と比較して500年も遡らないなど。
いまのところ、年輪年代法と炭素14年代法という異った手法の測定結果がほぼ一致することなどから、炭素14年代法の精度が認められ、反対意見は減少し紀元前10世紀説が定説となっています。
そして問題は年輪年代法で池上曽根遺跡の試料において、紀元前50年頃の測定結果は受け入れられ、紀元前500年頃の測定は古すぎるという理由で無視されてきたのです。
臭いものには蓋じゃないですが、あまり都合の良くない「紀元前500年以前」の証拠が出ては困るという態度では学問は進みませんよね。
もちろん、批判精神、懐疑思考は学問には必要なことです。
学者先生には、先入観とか固定観念抜きに研究していただきたいものです。
できるなら、自分の研究成果に固執せず研究成果のアップデートを行ってほしいです。
紀元前10世紀に水田稲作がはじまった
紀元前10世紀後半、九州北部で水田稲作が始まりました。
紀元前5世紀、中国では春秋戦国時代(紀元前770~紀元前221年)の真っ最中で戦争で追われて難民となった人々が、新天地を求めて日本列島に押し寄せ
日本列島は中国大陸や朝鮮半島からの渡来人によって短期間で席巻され入れ替わった。
というそれまでの学説は正しくないことが明確になりました。
席巻されたのなら日本人のゲノムもそれらの人々と同一になるはずです。
もちろん、ゲノム解析、DNA解析にて日本人はハプログループにおいて中国・朝鮮のグループとは同一ではないことが判明しています。
以前書いた縄文時代の朝鮮半島からも分かりますが、日本と朝鮮半島南部は交流がありました。縄文土器も発掘されているように、日本人が住んでいたと推定できます。
朝鮮半島の紀元前10世紀頃は、無文土器時代(紀元前15~紀元前3世紀)に当たります。
朝鮮半島に青銅器がもたらされたのは紀元前8世紀頃です。
もしも朝鮮半島が青銅器を持つ漢民族に征服され、それらが日本に波及したのなら紀元前8世紀以降のこととなり、紀元前10世紀の日本への水筒稲作の伝播とは関係ないことになります。
ということで戦国時代の中国等から日本への渡来によって席巻された説は消えます。
その後、紀元前3世紀まで朝鮮半島は日本人が住む地域でした。
朝鮮には檀君朝鮮とか箕子朝鮮という建国史がありますが、早くても紀元前3世紀以降になると推定されています。それまでは日本人を含め雑居状態。
そして、中国の漢民族や北方民族が移住しはじめ、今の韓民族の建国へとつながっていきます。