日本人の祖先をDNAで探る:約20万年前以降

ゲノムは生殖細胞に含まれる染色体や遺伝子全体を指します。
ゲノムはどのヒト個人にも1組ではなく、2組のゲノムを持っています。
1つは父親、もう1つは母親から受け継いだもの。

ゲノムにはY染色体とミトコンドリアDNAでたどれる父母2人の祖先ではなく
大勢の様々な祖先、何万という独立した家系の祖先の情報が含まれています。

これによって、母親からのゲノムと父親からのゲノムとの変異の数を数えて
それぞれの部位について共通祖先がいた時期を突き止めることができます。

変異の数が多いほど、祖先を共有する両親より遺伝子のコピーが伝えられてから
長い時間が経過していることになります。

非アフリカ人のゲノムではいずれも、個々の遺伝子の20%以上が
9万年前から5万年前の間に共通祖先を持つようです。

これは集団の急激な人口増加イベントを表しており、少数の創始者が現在
アフリカ以外で暮らす多くの子孫を生み出したことを示しています。

現代人にとって、1~22番染色体のすべてにわたる最新の共通祖先がいたのは
約500万年~100万年前の間で、32万年前より後ということはありえないと
推定されています。

それに対し、現代の非アフリカ人は全て、それより後で枝分かれした枝の子孫でした。

出アフリカ

聖書で出エジプトというのは読んだことあるけど、それをモジッた出アフリカも有名ですね。
人類の祖先がアフリカで誕生し、いつ頃アフリカを出たのでしょうか?

ミトコンドリア・イヴがアフリカに生きていたのは、約20万年~16万年前と言われます。

これまでに見つかった最古の現生人類の骨格は、20万~30万年前のもので
すべてアフリカで発見されています。(10年前くらいの話)

それに対し、アフリカ以外では10万年前より古い証拠は見つかっていません。
それどころか、約5万年以上前についてごく少数の証拠があるだけです。
(これも10年前くらいの話)

石器という考古学的証拠も、5万年前以降に大きな変化があったことを示唆しています。

西欧の考古学では後期旧石器時代、アフリカ考古学では後期石器時代です。

現在、「アフリカ単一起源説」が定説ですが、以前は「多地域進化説」と対立していました。

しかし、ミトコンドリアDNAをはじめとする分子生物学の研究が進み、現在ではアフリカで生まれ
その後全世界に広まっていったという「アフリカ単一起源説」が正しいとなりました。
(10年前くらいの話)

そして「アフリカ単一起源説」によると「出アフリカ」の時期は約13万年前とか18万年前とか
まだ定まっていないらしいです。
まあざっくり、そのくらいの時期にアフリカを出たということなんでしょうか。

アフリカ単一起源説は間違っていた?

ところが、全ゲノム解析により「アフリカ単一起源説」を覆す学説が続々と発表されました。
アフリカ単一起源説が揺らいできたのです。
ネアンデルタール人の系統と現生人類が分岐したのは約77万年~55万年前へと大きく
遡ることになりました。

人類の起源は、50万年近く古くなったのですから大変です。

それを裏付けるように、ジェベル・イルード遺跡から約30万年前のものと推定される人骨が
発見されたのです。場所は北アフリカのモロッコ国。
人類の発祥地であると言われた東アフリカの大地溝帯ではなく、北アフリカでした。

2018年以降有力な学説は「アフリカ系」と「ユーラシア系」2つの系統に分かれたというもの。
ユーラシア系は5万年前にアフリカから世界中に広がり、アフリカ系統はアフリカに残りました。

この2つの系統は、ネアンデルタール人のDNAを保有しているかどうかで判断されるようです。

ネアンデルタール人と現生人類は交雑していた!

ネアンデルタール人と現生人類が交配したということがわかってきました。
ミトコンドリアDNAからは明確な結論が得られず、全ゲノム解析によって、わかってきました。

マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボのチームが、2010年5月に
ネアンデルタール人のドラフトゲノム配列についてサイエンス誌に発表し、ネアンデルタール人と
現生人類の間で交雑があった可能性が高いことを報告したのです。

発表当時は「そんなバカな」という反発する声が強かったのですが、最近は反論もなく
逆にそれを裏付ける学説が発表されるなど、定説化しようとしています。

日本人も現生人類なので、ネアンデルタール人の一部の遺伝子を引き継いでいます。
日本人のDNAにはネアンデルタール人のDNAが約2%含まれると言います。

アフリカ単一起源説やネアンデルタール人と現生人類の交雑など、
最近の全ゲノム解析の進歩は人類の歴史探求を大きく塗り替えることは間違いないでしょう。

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